事務所通信
増田明美税理士事務所通信4年12月号
消費税インボイス制度の導入


法費税インボイス制度という言葉は最近テレビでも耳にするようになってきました。この制度が始まると、今までの消費税納税義務者だけではなく、今まで消費税の納税を免除されていた免税事業者の方々に大きな影響があります。

 消費税の納税額を計算するときの仕入れ税額控除の要件が変更となります。仕入れ税額控除とは何かを簡単に説明しますと、消費税納付額の原則的な計算方法は、「売上に伴って預かった消費税」から「仕入や経費に伴って支払った消費税」を差し引いてその差額を納付します。この「仕入や経費に伴って支払った消費税」を差し引くことを仕入れ税額控除といいます。

 この仕入れ税額控除を受けるための要件が改正になります。以前の「請求書等保存方式」から2019年10月からは「区分記載請求書等保存方式」に変更になりました。さらに2023年10月からは「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」に変更になります。

 適格請求書発行事業者登録制度が創設され、2023年10月1日以降の取引については、原則として「適格請求書発行事業者」から交付を受けた「適格請求書」または「適格簡易請求書」の保存が仕入れ税額控除の要件となります。

「適格請求書発行事業者」とは、納税地の所轄税務署長に申請書を提出し、登録を受けた事業者をいいます。この登録を受けることができるのは、消費税を納税している事業者のみで、免税事業者が登録するには少なくとも2023年10月以降は消費税納税義務者にならなければなりません。

 2023年10月以降も免税事業者であり続けるということは、適格請求書を発行することができない。つまり、取引先から取引を敬遠される可能性が生じてしまいます。

 個人的には、一般経済取引に有利不利の不公平を生じさせるような租税の在り方には疑問を感じるところです。しかし、施行まで1年を切り準備が着々と進められている状況から、事業者の皆様にはご自身の事業の状況、取引先との状況を再確認して、制度に取り残されることなく準備を進める必要があるでしょう。

当方事務所では、それぞれのお客様の事業規模・業種業態に応じて、対応をご相談させていただきます。